初リリースのVinVieシードル、どんな風に作っているの?
シードルは、フランスを起源として、イギリスやスペイン、北米など世界各地で醸造され、愛されている、リンゴを発酵させてつくる醸造酒です。
初醸造の「VinVieシードル」は、松川町産の7種類のリンゴ(フジ/紅玉/王林/シナノゴールド/昂林/グラニースミス/ピンクレディ)に、洋梨(ルレクチェ)をブレンドしました。極上の「ふじ」「昂林」をベースにして、とても良い香りのする黄色いリンゴの「王林」と「シナノゴールド」を加えています。味の背骨となり、もっとも大切な酸味を受け持つリンゴは「紅玉」「グラニースミス」「ピンクレディ」を贅沢に使いました。ここに、わずかな渋みのために、厳選した小玉の「ル・レクチェ」を加えて、混醸しています。各々のリンゴが素晴らしいバランスで、シードルへと昇華しています。
「VinVieシードル」は瓶内二次発酵にて作られています。瓶内二次発酵では、通常の一次のアルコール発酵をタンクで終了させた後、耐圧性のボトルに充填します。そこに糖と酵母を添加し、王冠で蓋をして12℃で管理されたセラーの中でゆっくり寝かせておくと、瓶中の酵母が活動を始め、糖が酵母によってゆっくりとアルコールと炭酸ガスに分解されます(二次発酵)。こうして発酵で発生する炭酸ガスがワインの中に溶け込んでいくことになります。
分解する糖が無くなって発酵を終えた酵母は、オリとなってシードル中に多くの量が沈殿していきますが、このオリとなった酵母か徐々に自己分解されてアミノ酸となり、シードルに旨味を付与してくれるという効果もあります。ただ、6ヶ月以上熟成させないと酵母の自己分解は始まらないといわれています。求める味わいの実現という意味においては、このオリと接触させておく熟成期間というのも重要です。今回のシードルは6カ月以上熟成したものを出荷していきます。
最終的には、このシードル中のオリを取り除き、より高品質の泡と味わいを求めていくのですが、オリを取り除くのに必要な作業の一番最初に行うのが「ルミアージュ」です。ルミアージュとは、シードル中のオリを瓶口に集めていくための工程で、「動瓶」と訳されることも多いです。
オリを集めていくために用いるのが、「ピュピトル」と呼ばれる、黒いスペシャルな瓶を差す台です。
そのピュピトルの穴の中に瓶内二次発酵を終えたシードルのボトルを差していくのですが、瓶内の全てのオリを集めていかなくてはならないため、時間をかけてゆっくりとオリを落としていきます。いきなり倒立させるわけではなく、最初は緩やかな角度でピュピトルに差して、毎日瓶を揺するようにして振動を与えながらボトルを回転させて、徐々に倒立させていくルミアージュを行います。
当社では初めてのことですが、1本1本人間の手で毎日ルミアージュを行っています。
約1カ月かけてルミュアージュしてオリを下げたボトルを、ピュピトルからボトルを倒立のまま抜き出してきて、最初にオリの集まっている瓶口部分を凍らせる作業を行ないます。ネックフリーザーという―27℃前後の冷媒が入っている専用機械にボトルの首の部分のみ漬けて瓶口に集めたオリをシードルの液体ごと凍らせて固めてしまうのです。
瓶口が凍ったボトルを丁寧に取り出して、専用の栓抜きを使って王冠を開けると、瓶内二次発酵でボトル内で生じたガスの勢いで、瓶口部分に集まったオリが飛び出てきます。
その後、「ドサージュ(Dosage)」という工程に移ります。ボトルによってオリとともに噴出してくるワインの量は異なります。なので、最終的に750mlの容量に戻すべくシードルを補填するということを行なうわけです。
このように、多くの手をかけて仕上げたシードルは、再度セラーに戻されて、出荷の時までゆっくりと眠りにつきます。
通常のシードル造りよりもはるかに多くの手間をかけた「VinVieシードル」は明るいレモンイエロー。りんご、パイナップル系の甘いエステルの香り。スワリングすると爽やかな柑橘の香り少しビターな和柑橘(八朔や甘夏)のような香りも感じます。今後の熟成で、更に深みのある味わいに変化していくと感じられます。
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